歯科で一番大切なのは噛み合わせです
顎関節症は、第三の歯科疾患
噛み合わせの不調和によって様々な障害が出てくることが、広く知られるようになりました。
その一つに顎関節症という病気があります。顎関節症は、虫歯、歯周病に次ぐ第三の歯科疾患と言われるぐらい、程度の差こそあれ、多くの人が経験している病気です。
顎関節症とは?
口の開け閉め時に顎の関節付近で「カクン、カクン」と音がしたり、突然、口が開かなくなったり、痛みがあったりします。
また、症状によっては、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、腰痛などの全身の広い範囲に及ぶ症状を呈してきます。その場合、症状が一定でないため、これらを不定愁訴と表現します。
噛み合わせと「姿勢」の関係
人間が二足歩行をするためには、身体の重心を常に適切な位置に保ち地球上に存在している重力とのバランスをとる必要があります。
その重力とのバランスを保つために、外見上は静止している状態でも、身体の中には絶え間ない運動があり、どんな姿勢でも完全に静止していることは無く、身体全体をたえず微妙に動かしています。
犬や猫などの4本足の動物は、構造上とても安定しているので生体のバランスが崩れて病気になることはほとんどありません。
それに比べて2本足の人間のバランスは、構造上不安定で、それは重力とのバランスをとる重心線からも明らかです。
足歩行の人間は、4足歩行の動物に比べて重心線が頭部と腰部を通っているため、他の動物に比べて重心が2ケ所あります。1つは、両耳の奥にある一対の三半規管の中間に位置し、もう1つは、腰部の仙骨の中央にあります。 これら2つの重心が身体のほぼ中央を通る重心線上にあることが、直立時における正しい姿勢であり、生体のバランスが保たれている状態であります。
2つの重心のうち頭部にある重心の方が、地球の重力のバランスをとるのに大変重要な働きを行っております。直立時の正しい姿勢では、頭部は地面に対して平行であり、視線は地表に対して水平方向を見ており、頭部の中心(G)は、第一頚椎(環椎)にある支点(O)よりも前にあるため、重力の作用によって頭が前に傾けようと作用しますが、後顎筋郡の後頭部を引っ張る力(F)により頭部は、前後左右のバランス(平衡関係)が保たれています。その時、左右の顎関節が安定した位置にあり、上下左右すべての歯が最大に接触し、その接触した咬合線(咬合平面)の延長は、第2頚椎歯突起を通ります。
噛み合わせと「呼吸」の関係
顎顔面の成長発育を見てみると脳頭蓋の成長よりも顔面頭蓋の成長発育が遅れて発育されます。顔面頭蓋の発育は、生後の骨格の変化や乳歯から永久歯に変化する歯の硬組織に対して、常に神経筋機構の働きにより、機能的に適応反応を繰り返して成熟していくと考えられています。
これは、遺伝的要素よりも後天的要素によって顔顔面頭蓋が変化している事でも明らかです。進化の過程で舌の大きさは変わっていないので、骨格のバランスと歯並び(噛み合わせ)の影響で舌の領域が狭くなったり、顎顔面領域の筋肉のバランスが悪くなったり、嚥下障害などになると睡眠時の呼吸障害だけでなく、様々な現代病に影響を与えます。
噛み合わせと「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の関係
日本では習慣的にいびきをかく人は2000万人以上、睡眠時無呼吸症候群の患者数は300万人以上と推定されています。いびきの中でも、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。
睡眠時無呼吸症候群の定義は以下の通りです。
- 一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こる
- 睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上起こる
このどちらかに当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。あごや顔の形態、歯並び、肥満、喉の形態を原因として発症します。
噛み合わせと「スポーツパフォーマンス」の関係
昔から強く噛みしめることは、握力や背筋力を向上させることは判っていましたが、その事によって、身体の柔軟性を減少させ、スポーツ競技によっては、マイナスに働くことがあります。その為、競技中はできるだけ強く噛まない事をオススメします。
しかしながら、かみ合わせのバランスを良くする事は、姿勢や呼吸に関係し、副交感神経を活性化することにより、パフォーマンスの向上に貢献します。
例えば、オリンピック選手などのトップアスリートは、誰もがメダルを獲得する事ができる能力を持っていますが、メダルを獲得する人とそうでない人の差は、テクニックや試合運びなどの差よりもメンタルの部分が大きいと言われ、このメンタルの部分で一番関係しているのは、副交感神経であるからです。
現在、世界中で噛み合わせとスポーツの関係が研究されています。
噛み合わせ治療とは
下顎の位置は頭位により変化するため、首は下顎の位置と密接な関わりを有しています。そのため、噛み合わせのバランスが崩れると頚椎の回転やズレが生じ、首筋、肩がこるといった症状が出て、頚椎そのものの歪みに発展します。
その結果、変形した頚椎が脊椎や血管を圧迫して様々な不定愁訴を起こします。顎運動の中心は第2頚椎歯突起にあり、顎関節は、2次的な運動の中心です。 上顎平面の基準はカンペル平面、下顎平面は咬頭頂を結んだ直線であり、その上下咬合平面が重なり合う咬合線が顎運動の中心(第2頚椎歯突起)を通るように調整を行います。
これにより、身体全体の姿勢や状態がよくなり、咬む運動により脳に良い影響を与え、良好になった脳が免疫系を含めた身体にも好影響を与えると考えられています。すなわち、正しい顎の位置にすることにより、生体の形態的偏位が修正され、不定愁訴が改善、消失し、健康が得られるのです。
噛み合わせ治療は、医科領域で改善がみられない方やスポーツのパフォーマンス向上に興味のある方にお勧めします
料金
歯科用CT撮影料 | ¥16,500 |
頸椎のレントゲン撮影料 | ¥6,600 |
噛み合わせ診断料 | ¥11,000 |
スプリント装置代(片顎) | ¥55,000 |
スプリント調整料(1回) | ¥3,300 |
かみ合わせ調整料(約30分) | ¥6,600 |
【料金は税込価格です】